「音咲か爺さん」Vol.9

<音咲か爺さん奮闘記 その9>
音出しの瞬間、一同から期せずして、「おーっ!」という感嘆の声

最初にお断りをさせていただきますが、この奮闘記は,長文になりますので、途中休憩を挟みながら、お読みくださるようお願いします。

ある日の午後、お店の電話が鳴った。若いお客様からのやや切羽詰まった声で「現在使っているセパレートアンプ」をお店に持ち込んでの「ミューズハート・チューニング」を希望だという。 もちろん4〜5日お預かりの上、チューニング作業をするのが、通常だが、1日でも音楽の無い生活は嫌なので、その場で出来ないかとの相談である。そうした気持ちは自分自身でも、痛感しているところなので、二つ返事でOKしたものの、果たしてどうなることか、われながら少々不安になった。ままよ、私、音咲か爺さんには既に、お客様のご自宅で、あるいは持ち込みで、かれこれ100セット以上のアンプ、CDプレーヤー、DAコンバーター、スピーカーシステム、TV,CDラジカセ、ミニコンポ、パソコン、業務用音響装置などをこの手でミューズハート・チューニングを施して、どれひとつ、見違えるほどに音が良くならなかったものはひとつも無いという実績がある。いつものように、着実にチューニングして、天国の音を咲かせるまでである。

約束の日の午前11時過ぎに、さすがに重かったとのことで、友人に手伝って貰いがてらH様がお店に、一緒に持ち込まれたのは、米国CROWN製のセパレートアンプのIC150とD150という、いわゆるヴィンテージもののトランジスターアンプである。ネットで相当な金額(うん十万円)で入手したものという。

(IC150)

(D150)
早速、当店のリファレンス・システムのアンプと繋ぎ変えて、音出しをする。

あれぇー!ハムノイズが出まくりで、試聴どころの騒ぎじゃない。アースを取らなければ駄目ではないかとか、持ち込んだ際に、何処か結線が外れたかしたのではないかとか、いろいろ疑ってそれなりに対処して見たが、いっこうに改善されない。
内心は冷や汗たらりなのだが、冷静さを装い、しばし熟考し、原点に戻り、レファレンスシステムをもう一度シンプルにCDプレーヤー→セパレートアンプ→スピーカーシステムと再結線して見た。どうだろう,今度は鮮明な素晴らしい音で音楽を奏で始めたではないか。
何のことはない、原因は2〜3日前からRCAピン端子の調子がおかしい当店のDAコンバーターのDA53に原因があったのである。皆さん、ごめんなさい。得てしてトラブルの原因はこうしたシンプルなことが多い。冷静に対処すれば,あっという間に解決するものだ。

ようやく、お持ちいただいたお客様のレファレンスCD(ファイナル・ファンタジーの挿入曲でお気に入りの声優さんが歌っているもの)をじっくりと聴いてみた。どうも、今ひとつぱっとしない。どうやらCDソフトそのものが静電気で汚されているようである。その旨、断って当店自慢のCDクリーナー「ミュージック・ウォーター」でクリーニングして、再度演奏する。今度は余程、クリアーに細かいニュアンスも出て来て、そこそこ納得する音になった。お客様もミュージック・ウォーターをさっと一吹きして、クリーニングするだけでこんなにも音が良くなることにびっくりしている。さすがにLAX在住のプロのテナーサックス奏者のボブ・シェパードさんに「イッツ・マジック・ウォーター!」といわしめた魔法の水である。

こうしてようやく、CROWNのセパレートアンプの実力そのものをしっかりと評価することが出来た。やはり、なかなか素性の良いアンプである。これでも充分と思われるほどの音質である。その旨、告げると持ち込まれたお客様のH様も、安心した笑顔を見せる。

さて、これからが音咲か爺さんの本領発揮である。

まず、手始めにプリアンプのIC150からMHT(ミューズハート・チューニング)を施す。
筐体のカバーを外して、中の基板をむき出しにする。かといって、MHTは電気的な変更は一切加えないのである。回路設計はもとより、部品一個さえ変更することは無い。そのため、メーカー保証は必ず受けられるというメリットもある。
案の定、音を汚す石油化学系のゴムが制振材として、そこかしこに貼られている。まずこれらを取り除くことから作業は始まる。大体、この音を汚している素材の撤去作業がMHT作業の80%を占めると言っても過言ではない。もちろん、これらの作業は、お客様の目の前での作業であるから、私の一挙手一投足が白日のもとに晒される。マジックなど一切ありはしないのである。
全ての、余分な素材を剥ぎ取り、綺麗にクリーニングしたところで、基板を指でコツコツ叩いていって、ノイズ成分の発生している箇所を特定して行き、そこに業務用のfo.Q(強力制振材)を目分量にカットして、貼り込んで行く。最後に筐体のケースに、大きめのfo.Qを貼って、ケースを元通りにネジ止めすれば、完了である。この間、40分ほど掛かっただろうか。

さて、音出しである。

うーん、随分と見晴らしの良い軽やかな音で、先ほどのCDとは同じものかと思うほど素晴らしい音で音楽を奏でてくれる。H様たちも目をぱちくりして、驚いている。実際自分の手の平の感覚と聴覚でチューニング作業をしている音咲か爺さんの私も、毎度のことながら、驚くしかない。たったこれだけのことで、音が地獄の音から天国の音に変身してしまうのだ。

続けて、今度はパワーアンプのD150のMHT化である。今までの経験でも、一番音質の変化が大きいのは、実は、CDプレーヤーでもなく、スピーカーシステムでもなく、このパワーアンプのチューニングこそ、最大に変わるのである。それは、あたかも「縁の下の力持ち」的存在のパワーアンプの性質を素直に発揮させてあげることによって、システム全体のクオリティがぐんとアップすると説明すると納得が行くのではないだろうか。

こちらも,同様に、カバーを外して、音を汚している石油化学系のゴムなどを剥がして行き、その代替えとして天然素材のフェルトや和紙などに置き換える。そして、例の指による打診によるノイズ発生箇所の特定とそのツボにfo.Q貼りの作業を行ってゆく。まるで聴診器を耳にして、背中を指で叩いて、悪いところを特定して行く内科医のようである。いつもお客様から「広瀬さんは,中国の鍼灸師さんみたい」と指摘される所以である。こちらも50分ほどで、全てのMHT作業が完了した。

さて、再結線して、音出しの瞬間、一同から期せずして、「おーっ!」という感嘆の声が上がる。

それほど、今までにない、軽々とした音で、小さな一音一音まで良く表現され,音と音の間の空気感さえもが表出されて来るのだ。そのためアーチストの意志や伝えたい思いがひしひしとこちらに伝わって来る。そこにこそ音楽表現の感動が生まれるのだ。これが味わえない音響装置など、まったく無意味である。
H様もそのお友達も、MHTのビフォー・アフターぶりに、すっかり度肝を抜かれたという顔をされている。
あぁ、今回も無事に、わずかチューニング料金4万円と約2時間強を費やすことで、地獄の音から天国の音へ変身させることが、出来て、めでたし、めでたしである。

その後、音咲か爺さん曰く「i-PodやヘッドホンもMHT化で、数倍音が良くなりますよ」との説明に、現役のDJであるというH様のご友人が、おそるおそる、愛機のヘッドホンアンプのiBasso AudioのD12Hjとi-Podとシュアーのインナーイヤーヘッドホンを差し出す。総額約10万円近いシステムである。


(iBassoAudio D12Hj)

それではと、まずD12Hjから、 MHT化して、聴いていただく、それまで、何となく音像が膨らみ気味だった音がすっきりとクリアーになり、音像もかっちりと引き締まってきたから、一同またまた、びくり仰天。 さらに、追い打ちをかけるように、i-PodのチューニングとシュアーのカナルタイプのヘッドホンをMHT化する。
するとどうだろう、DJのご友人曰く「まるでMP3の音が、非圧縮でリッピングした音になりました」とこれまた興奮気味に感想を述べる。H様も、追体験して、同様の感想である。音咲か爺さんの私も聴かせていただいたが、本当にDJ君のおっしゃるとおりの音に大変身しているのである。

ミューズハート・チューニング、恐るべし!
しかも、これには、さらに驚愕の後日談があるのである。

この後日談は、MHT化されたCROWNのセパレートアンプをご自宅に持ち帰ったH様から、今度はご自宅のスピーカーシステムA620のMHT化を施して欲しいとの要望を受けて、一週間後におじゃましてミューズハート・チューニングを施した、その3日後のH様ご自身の感想記にて、ご紹介しよう。

<H様の感想記>

広瀬様

本日はお越しいただきまして、ありがとうございました。

初め、リビングミュージックさんの視聴室にて、CROWNのセパレートアンプのIC150とD150をチューニングしていただいてから、家に持ち帰り自宅のシステムにつないだ時は生まれ変わったアンプの出す音に「ここまで変わるものなのか…」とただただ驚くばかりでした。ただ、欲を言うと、視聴室で聴いた音に比べて、高域、中域の響きが膨らんで聞こえ、iBasso AudioのヘッドホンアンプやiPodをチューニングしていただく前の音に似かよっていることに気付きました。おそらく、スピーカーにノイズ成分が付帯していて音を邪魔しているのではと思い、今回、広瀬さんにお越しいただいて、スピーカー「ALTEC620」の出張チューニングをお願いした次第です。
余談ですが、アンプをチューニングしていただく前は、スピーカーのALTEC A620が部屋に対して大きすぎて部屋鳴りしているものと思い、音響パネルや、吸音材を部屋に貼りめぐらしていました。それでも大きな音を出すと音が破綻してしまい、とてもじゃないですが、1曲聴いてられませんでした。でもヘッドホンアンプのMHT化前と同じような現象ならひょっとして、スピーカーにもMHTを施してもらえれば治るのかもと思ったのです。

そして、いざ、音を聞いていただいた時は広瀬さんがどう反応するのか緊張しました。 どこが悪いのか見つけられるのは、犯人捜しをされているような心地でした。ケーブル1本しょぼくても音が台無しになるのは、自分の経験でも分かっていましたから、自分では今考えられる最高のセッティングをしているつもりでした。
最初に音を汚している犯人捜しをCECのDACのDA53N、CDトランスポートのTL1Nに目を付けられ、順次MHT化していくうちに、ALTEC A620から出てくる音がどんどん良くなっていくことには驚きました。CDトランスポートにはこれ以上お金出せないってくらい清水の舞台から飛び降りてまで買った宝物のTL1Nですが、foQを貼ってもらい、さらに底板の人造大理石のアキュストーンを取り外した方が音がいいということで、大胆にもそれを取っ払うと、また一段と、音が解放されたようになり、ALTEC A620から素晴らしい音が鳴るようになったではないですか。

ALTEC A620の素晴らしさを再認識したところで、わがままを言ってしまい、「ボク、ものぐさだからCDを入れ替えないで済むPCオーディオもよく聞くんです。」とMac miniのチューニングまでお願いしてしまう始末…。大変申し訳ありませんでした。


(Mac mini)

自分ではリンゴのマークの上にfoQを1枚貼って音質急激アップ!一件落着!と安易に考えてましたが、実際は相当な難問だったようです。オーディオメーカー製のUSBケーブルはダメ、外付けハードディスクもオリジナルではダメ、Mac miniのゴム板はダメ、極めつけは筐体もダメ。しかし、力技ではめ込み式の筐体を引き離し、出した音と言ったら!


(力技ではめ込み式の筐体を引き離す)

広瀬さんご自身も「TL1Nから音出してるわけじゃないですよね??」と何度も確認する始末。筐体から解放されたMac-miniはTL1Nと全く遜色ない音色を奏でてました。

「PCオーディオってやっぱり凄いんですね!」価格差10倍のCDトランスポートと互角なんて。やっぱりMac-miniは凄かった。というより、Macの封印を解いて真の実力を引き出した広瀬さんとMHTの技法には本当に脱帽です。
自分はオーディオにハマってまだ3年で、ハマった当初はプロケーブル信者でした。
高いオーディオグレードのケーブルはすべてゴミで、プロの現場で使うケーブルのほうが安価で音質も数段上という触れ込みを見てからオーディオ業界の異常な現実に最初から警戒してました。

今の機材には興味がなかったので、モデファイされたビンテージ物のアンプ(CROWN製)を手に入れ、スピーカーもそれに合うもの(ALTEC A620)を選びました。プロケーブルの功績なのか、iPodの音質が実はいいことが広まって、PCオーディオというジャンルの人気が出てきたのもそのころじゃないかなと思います。自分もMac-miniを購入しました。
今思い返せば、まあそれなりの音で鳴っていたと思いますが、やっぱりどこか満足できなかったのでしょうね。

CECのTL1Nを購入し、やっぱりコレだ!と確信したのがつい最近です。後はその女房役のDACのDA1Nを揃えれば天にも昇る音色が聞けるとネットを探しまわったのですが、どこもDA1Nが売り切れで、なぜかCEC製品を取り扱っているリビングミュージックさんをみつけたのが転機でした。プロケーブルから初めたオーディオで、リビングミュージックさんの掲げる「安価でもいい機材をそろえることで最高の音が出せる」という言葉に、今のオーディオ業界の大半が金持ち相手だけの商売をしているわけではないことに感じ入りました。

私はオーディオ雑誌の先生達のようにいい耳をしているわけではないので、制振によるチューニングが自分に聴き分けられるのかと始めは、少し心配でしたが、これほど変わるのかというくらいの変わりようでした。これは体験した人でしか分からないのが残念です。
正直、自分が今、感想で述べてる言葉はネットではあふれんばかりあるからです。自分も他でカウンセリングを受けたことがないので比較のしようもないのですが、機材のノイズ成分を取り除いていくやり方のMHT理論はすべての機材に共通して出来て、究極のスタンダードで一番自然なやりかたではないかなと思います。

話は飛びますが、自分は、とある声優さんのファンでよくライブに行くのですが、中高音の音圧が上がると音が膨らんでしまうところがあります。自分的にはその歌手さんの気持ちが高ぶってるのかなぁと思うくらいなのですが、これってたぶんノイズ成分なんですよね。正直、MHTをライブで使っているマイクにも施していただきたいですね。



早速Mac−miniの筐体をさくら材で作りました。足を4点支持にして、foQを噛ましているからか、筐体なしの裸時に比べて音質が若干やわらかくなりました。これからちょっと自分でもチューニングしてみようと思います。画像送りますのでよろしかったらご覧になってください。



本日は本当に貴重な一日になりました。長時間にわたるチューニング、本当にありがとうございました。駄文で申し訳ありませんが、感想などは適当にはっしょっていただき、ホームページなどで使ってお役にたてていただければと思います。



それでは失礼いたします。

<江東区・H様>より


お終い

By 音咲か爺さん







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バックナンバー Vol.2 「音咲か爺さん」こんな素敵なめぐり会いが起きるなんて!この世の中捨てたものじゃないべさぁー。の巻
バックナンバー Vol.3 「ミューズハート・チューニングモデルに 暗雲?」の巻
バックナンバー Vol.4 「上手の手から水が漏る」猿も木から落ちる」の巻
バックナンバー Vol.5 「MHTは実に「エコ」なシステム提案だべさ!」の巻
バックナンバー Vol.6 「皆様がたぁー 是非、読んで見てくれやぁー!」の巻
バックナンバー Vol.7 「おらのマイミクさんが当店での最小ステレオ&最安システムのi-Heart-MHTをご紹介いただいただぁー!」の巻
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